サッカーやラグビーなどのスポーツ選手に多く、一度陥ると「治りにくい」と言われるグロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)。

単なる「股関節の痛み」として片付けられがちですが、実は特定の病名ではなく、鼠径部周辺に痛みが出る複数の状態をまとめた総称です。その正体と対策を分かりやすく解説します。

グロインペイン症候群とは?

グロイン(Groin)は「鼠径部(あしの付け根)」、ペイン(Pain)は「痛み」を意味します。

最大の特徴は、レントゲンやMRIで「骨が折れている」「筋肉が完全に断裂している」といった明確な構造的な異常が見当たらないことが多い点です。それなのに、走る、蹴る、起き上がるといった動作で、鋭い痛みや力が入らない感覚に襲われます。

グロインペイン症候群の症状

痛みが出る場所は人によって微妙に異なりますが、主に以下の部位に集中します。

  • 鼠径部(付け根)の中央
  • 恥骨(前側の骨)の周辺
  • 内もも(内転筋の付け根)
  • 下腹部(腹直筋の下部)

【痛みの出やすい動作】

  • サッカーのキック動作
  • ダッシュや急な方向転換
  • 足を閉じる動作(内転動作)
  • 腹筋運動(起き上がり)

放置するとどうなる?

グロインペイン症候群を放置すると、

・痛みが慢性化
・パフォーマンス低下
・股関節唇損傷やヘルニアのリスク増加

といった問題につながります。

早期対応が非常に重要です。

当院でのアプローチ

当院では「痛い場所」ではなく、
なぜそこに負担がかかっているのかに着目します。
治療のゴールは、痛みを引かせることだけでなく、「鼠径部に負担をかけない体の使い方」を取り戻すことです

① 柔軟性の回復
特に股関節の「回旋(ひねり)」の動きと、胸椎(背中)の柔軟性が重要です。ここが硬いと、代償として鼠径部に負担がいきます。

② 体幹と連動したトレーニング
腹圧を高め、体幹を安定させた状態で股関節を動かす練習を行います。内もも(内転筋)と腹筋を協調させて使う感覚を養うことが、復帰への近道です。

③ 動作の修正
キックフォームやランニングフォームを見直し、局所に負担が集中する癖を修正します。

グロインペイン症候群は「根性」で治るものではありません。むしろ我慢してプレーを続けるほど、脳が「痛みを避ける不自然な動き」を学習してしまい、長期化してしまいます。

「付け根に違和感がある」「キックの時に力が抜ける」と感じたら、それは体が発しているSOSです。早い段階で股関節の機能に着目した専門的なチェックを受けることが、早期復帰への鍵となります。