股関節唇損傷とは

股関節は、骨盤のくぼみ(臼蓋:きゅうがい)に、太ももの骨(大腿骨頭:だいたいこっとう)がはまり込む「球関節」という構造をしています。

股関節唇(こかんせつしん)とは、その骨盤側のくぼみの縁をぐるりと取り巻いている「柔らかい軟骨(線維軟骨)」のことです。

  • 役割1: 関節の受け皿を深くし、大腿骨が外れないよう安定させる(パッキンのような役割)。
  • 役割2: 関節内の圧力を一定に保ち、スムーズな動きをサポートする。
  • 役割3: 荷重を分散し、軟骨への衝撃を和らげるクッションになる。

この股関節唇が、何らかの原因で裂けたり、骨から剥がれたりした状態が「股関節唇損傷」です。

股関節唇損傷の原因

股関節唇損傷は、単なるケガではなく「関節の構造」と「使い方」が関係して起こることが多いのが特徴です。
主な原因を紹介します

① 臼蓋形成不全

臼蓋が浅いことで関節唇に負担が集中
日本人女性に多い代表的な原因

② インピンジメント(FAI)

骨同士がぶつかることで関節唇が擦れる
Cam型・Pincer型に分類される

③ 繰り返しの負担

スポーツ(ゴルフ・ダンス・ヨガなど)
長時間の立ち仕事・歩行

④ 加齢による変性

軟骨や関節唇の弾力低下
40代以降に増加

股関節唇損傷の症状

股関節唇損傷は、レントゲンでは分かりにくく「原因不明の股関節痛」と言われることも多い疾患です。
股関節唇には神経が豊富に通っているため、損傷すると強い痛みを感じやすいのが特徴です。

  • 鼠径部(足の付け根)の痛み
  • 股関節の引っかかり感・詰まり感
  • 動かすとコキッと音がする(クリック音)
  • 長時間歩くと痛くなる
  • 足を開いたりひねる動作で痛みが出る

放置するとどうなる?

股関節唇損傷を放置すると、以下のように進行する可能性があります。

  • 関節の不安定性が増す
  • 軟骨がすり減る
  • 変形性股関節症へ進行

関節唇は「関節を守るパーツ」なので、
損傷すると股関節全体の劣化が加速します。

当院のアプローチ

股関節唇そのものを修復することはできませんが、
負担を減らすことで症状改善・進行予防は十分可能です。

重要なポイント

  • 股関節に負担がかかる動作の修正
  • 骨盤・股関節のアライメント調整
  • 中殿筋・体幹の安定性向上
  • 過剰なねじれ動作の改善

具体的な施術内容

  • 骨盤・股関節の調整
  • 筋膜リリース(腸腰筋・大腿筋膜張筋・外旋筋群など)
  • 可動域の最適化
  • 歩行・姿勢の指導

数ヶ月の保存療法でも改善が見られず、日常生活やスポーツに著しい支障がある場合は、内視鏡(股関節鏡)を使って損傷部位を縫合したり、整えたりする手術が検討されます。