アスリートに人気のマウスガードについて解説


顎関節症の原因の一つに寝ているときの歯ぎしりがあります。
この歯ぎしりの治療の一つにマウスガード(マウスピース)を歯科で作ってもらい使用している方も多くいます。
今回は歯ぎしりの際に使用するマウスガードではなくアスリートが使用するマウスガードについてのお話です。

格闘技やラグビー選手がマウスガードを使用しているのは見かけていましたが最近ではサッカーのW杯でも着用している選手が何人かいました。
なぜ最近様々なスポーツでマウスガードの着用が増えてきているのかを解説していきます。

歯ぎしり用のマウスガードとはどう違うの?


スポーツ用のマウスガードはスポーツする上で怪我の予防や歯の破損を予防するため厚みが3〜5mmで柔らかい素材で出来ています。一方で歯ぎしり用マウスガードは夜寝ている時の歯の保護だけに使うもので厚みはスポーツ用より薄く1〜3mmで固めの素材でできています。
歯ぎしり用のマウスガードでスポーツをしても歯の保護効果やパフォーマンス向上にはあまり意味がありません。
どちらも代用はできないので適切な用途で使用しましょう。

マウスガードの効果

マウスガードにはスポーツをする上で様々なメリットがあります。
使用するマウスガードの質の違いやスポーツの種類によって効果は変わってきますが一般的に言われているマウスガードの効果を見ていきましょう。

①外傷予防

接触や転倒の衝撃で歯が折れる、抜けるといった損傷や舌を噛んでしまったり、口の中の粘膜を傷つけるリスクが下がります。
また顎関節や頭部に対する衝撃も和らげられるので脳震盪の予防効果もあります。

②パフォーマンスの向上

歯へのダメージを気にする事なくプレーに専念できるため、スポーツパフォーマンスが向上します。
しっかり歯を噛みしめると筋力が数%アップするとも言われています。(逆に噛み合わせが悪いと本来の力が発揮できてない可能性があります。)
またガムを噛むのと同様にリラックス効果も期待できます。

③歯のすり減り予防

アスリートはインパクトの瞬間や緊張時にものすごい力が歯にかかります。それにより歯の磨耗が早く進んでしまいます。

マウスガードのデメリット

・プレー中にズレたり外れたりする。
・噛み合わせが悪くなり力が発揮できない。
・オーダーメイドだと高額になる
・監督、コーチがマウスガードの使用を認めてくれない。

使用を断念した人から上記のような声がありました。
全ての人のパフォーマンスが上がるわけではなく中にはフィットしない人もいるようです。
また噛み合わせというのは数ミリのズレで変わってしまうのでマウスガードの制作者のスキルも影響してきます。

マウスガードはどんなスポーツに効果があるの?

着用義務

アメリカンフットボール、ボクシング、キックボクシング、総合格闘技、テコンドー、ラクロス(女子)、ラグビー(13〜19歳)、アイスホッケー(U-20) 、フィールドホッケー(中学のみ)、空手(組手)

着用推奨

ウェイトリフティング、サッカー、野球、自転車、柔道、水泳、スカッシュ、スキー、スケート、スケートボード、スノーボード、相撲、ソフトボールテニス、バスケットボール、バドミントン、バレーボール、ハンドボール、レスリング
※ゴルフの公式戦では着用禁止

マウスガードの種類は

マウスガードには市販のものとオーダーメイドのものがあります。
市販のものには、そのまま使うタイプや熱を加えて自分で調整するタイプなどありますが、使用感はオーダーメイドのものと比べると劣ります。
オーダーメイドのマウスガードは歯科医院の歯科医や歯科技工士により選手の噛み合わせやスポーツの種類などを考慮して、型取りから製作まで行います。
マウスガードは保険診療ではないため歯科医院によって値段も違ってきます。
事前に調べてから受診しましょう。

まとめ

マウスガードを使用しているアスリートといえば私はサッカーのW杯でも活躍した遠藤航選手が一番に思い浮かびます。
ドイツに渡り激しく接触するためもうマウスガードなしでは怖くてプレー出来ないとインタビューで言っていました。ただ興味深い事に、マウスガードをする事によってパワーを発揮するかというと実はパフォーマンスはしてもしなくてもあまり変わらないと、顎が安定して落ち着くためプレー中のリラックス効果が大きく、それにより瞬発的に動き出しやすいと言っていました。
マウスガードをする事でシュート力が増したり当たりが強くなるというわけでもないようです。

制作者選びや予算と相談しながら材質を決めたりと自分に合ったマウスガードを作るのは非常に大変な作業です。
最近では歯科技工士によるアスリート専門のマウスガード専門店も増えてきています。
しっかり情報収集して自分に合ったマウスガードを見つけて下さい。