膝の再生医療はどんな種類があるの?

近年の医学の進歩により再生医療の分野で変形性関節症と診断された方にも光が差し込んでいます。
人工関節の手術ではなく身体の自然な治癒力を活用し、膝関節の損傷や痛みを軽減し、生活の質を向上させる事は果たして可能なのでしょうか?

この記事では、変形性関節症に効果のある再生医療治療法に焦点を当て、その原理や最新の治療法について解説していきたいと思います。

膝関節で行われる再生医療の種類は?

膝関節の再生医療には、大きく分けて3種類あります。
自身の組織や細胞を用いる点では同じですが、治療に用いる材料やそれを加工する方法の違いによっていくつかの治療法が存在します。
以下の様な治療方式があります。

  • 血液を材料に行う治療(PRP治療)
  • 幹細胞を材料に行う治療(脂肪幹細胞治療)
  • 軟骨細胞を用いる治療(自家軟骨移植術)
  • 後日それぞれの治療法を詳しく解説していきますが今回は特徴を簡単に記述していきます。

    PRP療法

    PRP療法の「PRP」とは、自分の血液から作った特別な液体のことです。
    この液体には、血小板と呼ばれる細胞がたくさん含まれています。
    これらの血小板には、体の中で組織を修復したり再生したりするのに役立つ成分が含まれています。
    PRP療法では、この特別な液体を損傷した部分に注入して、体の自然な治癒プロセスを助けます。つまり、自分の血液を使って体を修復する方法と言えます。

    PRP療法は自己由来の成分を用いるため、他の治療法に比べて副作用のリスクが低いとされています。

    効果がばらつきやすいこと、治療に時間がかかること、高額な費用がかかるというデメリットがあります。

    脂肪由来幹細胞(ASC)治療

    膝関節に行われる幹細胞療法は、患者自身の身体から取り出した脂肪組織を採取し、その中に含まれる幹細胞を分離して取り出します。
    これらの脂肪由来の幹細胞が、身体の自然な再生力を活用して、膝関節の損傷や問題を修復しようとします。
    具体的には、体内から採取した幹細胞を関節内に注入することで、軟骨や骨の再生を促進し、関節の機能や症状を改善することを目指します。

    ASC療法は、自己由来の幹細胞を利用するため免疫拒絶反応のリスクが低く、関節の再生や損傷修復を促進する可能性があります。
    手術を必要とせず、比較的簡単な処置で行われるため、患者への負担が少ないです。
    しかし、効果の個人差や保険適用外の高額な費用、感染症や副作用のリスク、効果の不確実性などのデメリットもあります。

    自家軟骨移植術

    膝の自家軟骨移植術は、患者自身の軟骨を使って、膝関節の損傷や欠損を修復する手術です。
    まず、患者から軟骨組織が取り出され、それを増殖させてから損傷した軟骨部分に再び植えます。これにより、膝関節の機能を回復し、痛みや不快感を軽減することが目指されます。

    自家軟骨移植術は一部の軟骨損傷に効果が認められ保険も適用されていますが変形性膝関節症に対しては研究や治験が行われている段階でまだ認可されていません。
    治験では変形性膝関節症において軟骨が修復されたという論文もあるので今後に期待したいと思います。

    まとめ

    再生医療は、変形性関節症の保存療法において生活の質を向上させる可能性があります。
    リスクが低く人体に対しデメリットが少ない治療法ですが高額な費用をかけて治療したにも関わらず効果がなかったという声もあり治療を受けたいという相談を受けても返答に困ってしまいます。
    データが蓄積され効果が実証されていけば保険適応になる可能性があります。
    気軽に再生医療が受けれるようになっていくことを期待したいです。