
FAI(Femoroacetabular Impingement:大腿骨寛骨臼インピンジメント)とは、股関節を構成する「大腿骨」と「臼蓋(きゅうがい)」の骨同士が衝突(インピンジメント)することで、関節内にダメージが生じる疾患です。
この状態が続くと、関節唇(labrum)や関節軟骨に負担がかかり、股関節唇損傷や変形性股関節症へ進行するリスクが高まります。
FAIとは何が起きているのか?
正常な股関節は、大腿骨頭(ボール)と臼蓋(受け皿)が滑らかに動くことで、
スムーズな関節運動が可能になっています。
しかしFAIでは、骨形態の異常や位置関係の問題により、
股関節の屈曲や回旋動作の際に骨同士が衝突します。
この衝突が繰り返されることで、
- 関節唇の損傷
- 関節軟骨の摩耗
- 関節内炎症
といった問題が生じます。
FAIの種類(Cam型・Pincer型・混合型)
① Cam型インピンジメント
大腿骨頭頸部移行部の膨隆(bone bump)により、股関節の屈曲・内旋時に臼蓋と衝突します。
- 若年男性・スポーツ選手に多い
- 関節軟骨損傷を起こしやすい
② Pincer型インピンジメント
臼蓋の被覆過剰(overcoverage)により、大腿骨頭が臼蓋縁に衝突します。
- 中年女性に多い
- 関節唇損傷が起こりやすい
③ 混合型
Cam型とPincer型の両方の特徴を持つタイプで、臨床では最も多く見られます。
FAIの原因と発症メカニズム
FAIは単なる骨の異常だけでなく、複数の要因が関係しています。
骨形態異常
- 大腿骨頭の非球形
- 臼蓋の過剰被覆
運動・スポーツ
- サッカー・バレエ・ダンス
- 深い屈曲や回旋動作の繰り返し
機能的問題
- 骨盤前傾・後傾の異常
- 股関節可動域制限
- 筋力バランス不良
これらが重なることで、股関節に不適切なストレスが加わり、
インピンジメントが発生します。
FAIの主な症状
- 鼠径部(足の付け根)の痛み
- 股関節の詰まり感・引っかかり
- 長時間歩行での痛み
- 屈曲動作での痛み(しゃがむ・座る)
- クリック音やロッキング感
特に「股関節を深く曲げたときに痛い」という症状は、FAIを疑う重要なサインです。
診断方法
徒手検査
- FADIRテスト(屈曲・内転・内旋)
- FABERテスト
画像検査
- レントゲン(骨形態評価)
- MRI(関節唇・軟骨評価)
これらを組み合わせて総合的に診断されます。
放置するとどうなる?
FAIを放置すると、
- 関節唇損傷
- 軟骨損傷の進行
- 変形性股関節症
へと進行するリスクがあります。
特に若年層でも早期に関節変性が進む可能性があるため注意が必要です。
保存療法と整体でのアプローチ
FAIは骨形態の問題を含みますが、すべてが手術対象ではありません。
多くの場合、関節への負担を減らすことで症状改善が可能です。
重要な改善ポイント
- 股関節の可動域最適化
- 骨盤アライメントの調整
- 体幹安定性の向上
- 過剰な屈曲・内旋動作の制御
整体での具体的アプローチ
- 骨盤・股関節の調整
- 筋膜リリース(腸腰筋・外旋六筋)
- 可動域改善エクササイズ
- 歩行・動作指導
「当たらない動き」に再教育することが重要です。
手術が必要なケース
以下の場合は外科的治療が検討されます。
- 強い痛みが持続する
- 保存療法で改善しない
- 明らかな構造異常がある
主に股関節鏡手術により、骨の突出部の切除や関節唇修復が行われます。
まとめ|FAIは早期対応が重要
FAIは、
- 骨形態
- 動作パターン
- 筋機能
が複雑に関与する疾患です。
そのため、
- 痛みの早期評価
- 適切な動作改善
- 専門的なケア
が非常に重要になります。
放置せず、早期に対応することで、将来的な関節障害を防ぐことが可能です。




